年金の行方

年金相談で興味深いのは、これから年金をもらう人より受給の始まっている人の方が悩みが大きいこと。守りにはいるからなのでしょうか。実際はこれからもらう人の方が大変なのですけれど。
Q 現在年金生活をしています。政府は年金改革を行うべく検討をしていますが、将来の見通しとして現在私が受給している金額が減額になる恐れがあるのでしょうか。お教えください。 (2004/09/06 FPファインダーでの質問)
A 物価が上昇した場合、実質の年金額が下がります。■今回の年金改正では、物価スライドを抑制する仕組みとして「マクロ経済スライド」の考え方が取り入れられました。ご存じのように年金は物価の上昇にあわせて受給額を上昇させることによって、現役世代と比べて大幅には遜色のない年金額を実現してきてきました。が、今回の考え方は、物価が上昇したとしても社会全体としての稼ぎ手が減ることを勘案しています。その率は0.9%とされています。■具体的には物価の上昇率から0.9%を引いたものが年金の上昇率になります。たとえば物価が1%上昇したとすると年金は0.1%しか上昇しません。つまり名目の年金額は物価が下落したとき以外は減りませんが、実質の年金額は物価が上昇し続けた場合にはどんどんおいて行かれることになります。しかも当面はマイナスの物価スライドを据え置いた3年分の積み残しである1.7%を解消するまでは、年金額の改定を行わないことになっています。 ■また、今回の改正で決まったこととして年金のお金の出所である国の負担率を現行の3分の1から2分の1にまで引き上げることが決められています。そのためにまず、年金課税の見直しがされます。平成17年度から、65歳以上に適用されていた公的年金等控除の優遇がなくなり、年金額330万円超の方は65歳未満の方と同じ控除額となります。つまり年金にかかる税金が増えます。また平成19年度までに所得税・地方税の見直し、消費税の増税を行って、国庫負担の引き上げに当てることになっています。■このように今回の年金改正では、実質年金額の低下と、増税が決められました。すでに年金を受給されている方でも生活に影響が出てくると考えられます。さらに暗い話ばかりで恐縮ですが、私は年金よりも医療(健康保険、介護保険)の方が大変なことになりそうとの覚悟が必要と思っています。

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