遺族年金の功罪

知人の(正確には知人のご子息でまだお会いしたことがないから知人と言っていいかは不明)若いFPから相談を受けた。FPは幅広い分野をカバーしているため、おのずと得意分野ができてくる。私の場合は年金・保険が得意だから、そういう相談が回ってくる。逆に不動産がらみだと別のFPに相談したりする。
クライアントは40歳の女性。昨年ご主人を亡くし、二人のお子さんと暮らしている。遺族年金をもらいながら、厚生年金に加入する正社員で働いている。相談は、厚生年金に入っている意味があるかどうかというものだった。
遺族厚生年金をもらっている人が、自分自身の老齢厚生年金を受けられるようになったとき、両方はもらえずどちらかを選ぶことになっていた。一般に専業主婦時代の長い人だと自分の老齢厚生年金より夫の死亡による遺族厚生年金の方が多く、自分が働いて納めた厚生年金が結果的に掛け捨てになるという悩みがあった。そこで昨年の年金改正で、まずは自分の老齢年金をもらい、夫の遺族年金との差額を上乗せするということになったが、名目が変わっただけで受取額は同じである。クライアントの場合、このまま推移したとすると多分金額的にはトントンである。では、厚生年金に加入している意味がないかというとそんなことはない。相談者が死亡することや障害になることだって考えられる。何よりも働いて得る収入が違う。一般的には年齢が高くなるほど新しい職に就くのは難しくなりそうだから、仕事に就けるかどうかのところだって、これから怪しいのだ。それに再婚する可能性もないとは言えない。再婚したら遺族年金は打ち切りである。年金額よりも勤労収入の方が大事だということで話を締めくくった。年金がらみの相談はつい、金額の方に目がいってしまいがちだが、そこに注目してはいけない場合が往々にしてある。

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