思いがけず・・・

 早いもので今日は御用納め。例年暮れは忙しいが、今年は特に忙しかった。10月から週に1度の授業があったことにもよる。「社会保険・労務科」。ハローワークの民間委託訓練である。仲間の社労士に頼まれて国民年金法・厚生年金保険法を受け持ったのだが、全部で6時間×12日。結構なボリュームである。
 受講生は26人。生徒とはいっても定年後の方から20代前半の女性など、まさに老若男女だ。 初日の授業では各人の志望理由を発表してもらう。事務職を目指す人はもちろん、社労士を受験したい人も10名近くいた。前職も様々で、年齢も目的も異なる集団。しかもテキストは社労士試験受験用のもの。試験対策としては不足のようにも思われるが(私の受験は一昔前なので最近の傾向は知らない)、一般の総務・人事課社員養成としては詳細すぎるように思われる(さすがに今旧法を知っていなければならない理由が思いつかない)。方針を決めるのに迷ったが、時間がたっぷりあることだし、テキストはほぼ全部見ることに加え、年金周辺で必要となると思われる人口動態の話、法改正と残された問題点、企業年金の話、それから無関係と思われそうだが投資教育の初歩をプラスした。
 テキストは元気のある午前中に進め、午後からは具体的な年金相談事例を解いてもらった。事例は全部で26。全員に一人ずつ板書で回答してもらい、説明を加えてもらった。内容は毎回似たようなものだったが、わかっているだろうと思っても、前に出るとなかなかできない。「テキストの○○ページに載ってる」「電卓お願いします」など回答者と他の生徒の間で、「加給年金がつくんじゃない?」「つかないよ」など他の生徒同士の間で、言葉が飛び交う。こうやって繰り返すことで、目の付け所を体得してもらうことができたと思っている。
 最後の方では投資教育を行った。企業年金を検討する際、確定拠出年金が候補として上がることは多いと思うが、「投資は怖い」「投資など、従業員に押しつけられない」という誤解のもとに、候補からはずされる場合が、中小企業の場合多いのが残念だからだ。愛知県会の来年度の研修内容にも提案中だが、確定拠出年金を他のしくみと同列で比較検討するには、比較をする人の投資に対するフラットな見方が必要不可欠だ。さらにはライフプランの考え方がベースにあることが望ましい。企業年金は公的年金を補完するものだからだ。
 昨日は授業の最終日で、また各人に感想や今後の方向を発表してもらった。おおむね満足して頂いたようで安心した後、思いがけず寄せ書きの色紙をもらい、記念撮影をした。生徒の誰かが「一生の思い出になる」という意味のことを言ったが、社会人になってからの学習仲間は「同期」としてその後も交流の続くことが多いだろう。その連帯意識作りに少しでも寄与できたことの喜びは大きい。生徒たちのいい就職を祈っている。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次の記事

レーシック手術